リンダママが、俺と梨子に与えてくれた部屋は六畳一間の畳部屋。
隅に一つ、鏡台があっただけの殺風景な部屋だ。
暴走族だった頃、道端で倒れているところを拾われたという梨子は、ほんの短い間この部屋に住んでいたらしい。
煩わしかったドレスとヅラを脱ぎ捨て、鏡台で化粧を落とす。
その姿を自分で見ながら俺は、
「ダッセぇ…。」
と、呟いた。
あまりにも、滑稽だ。
普通の男であれば、まず化粧なんてした事がない。
顔面に塗りたくられた、これを落とす術がイマイチよく分からなかった。
悪戦苦闘………あー!イライラするっ!!
鏡台の上の化粧品。
様々な物があるが、何が何の為の物なのか、さっぱりだった。
試しに、鏡台の引き出しを開けてみる。
中には、似たような化粧品が雑に収納されていた。
クソッ!めんどくせぇ!!