「ウフフ〜。男前だから、きっと似合うわよぉ。」



隠しきれない野太い声でリンダママは言いながら、化粧品を手に俺に迫る。




「まっ!?ちょっ!?冗談じゃねぇ!!」


半ばキレて、叫ぶ俺。





梨子は、その様子を見つめて平然と言った。



「でも、朔ちゃんはホストをやっていらっしゃいましたから、きっと接客は完璧です!
それに、私も見てみたいです!きっと女装したら、お綺麗ですよ!」





梨子!余計なこと言ってんじゃねぇ!!






「あら。ホストだったの〜。じゃあ、安心して任せられるわねぇ〜。」



不敵な笑みを浮かべるリンダママ。








俺は最後まで抵抗したものの、体格のいいリンダママにかなうわけがなく………。








ドレスに、ヅラに、化粧と全てを施された俺を見て、梨子は言った。




「朔ちゃんっ!お綺麗です!スゴいですっ!」






瞳をキラキラさせて言う梨子に悪気はない。



けれど、俺にとって、それは誉め言葉ではなく………。










そうして、最高に不機嫌な気分のまま、今に至るわけだ。