「その代わり!条件があるわヨ!」
「条件?」
「そう!タダで置いてやる程、アタシもお人好しじゃないの。
梨子、ほんの少しだけ、ここで働いた時に厨房やってくれてたけど覚えてる?」
「はいっ!」
「じゃ、梨子は厨房ネ!」
リンダママは、そう言ってウィンクをした。
「そ・し・て!カレは!」
「へっ?」
俺を見つめて、ウフフっと笑うリンダママ。
トリハダがたつ程の嫌な予感がする。
「まさか!リンダママ、朔ちゃんにアレ…やらせるつもりですか?」
「そう!ア・レ・よ!」
……アレって何だよっ!!?
梨子は不安げに呟く。
「でも、アレはぁ〜…。」
「大丈夫っ!アタシに任せなさいっ!」
……世の中は、どこに行っても甘くはないらしい。
働かざる者、食うべからず。
この店は手伝うほど繁盛してんのか!?という喉元まで出かかった言葉を、俺は無理やり呑み込んだ。