「リンダママー!!お久しぶりですー!!」




そう言いながら梨子は中に入り、俺はその後に続いた。






カウンター席に、テーブル席が3つ。


モダンな雰囲気でまとまっている。


客は一人もいなかった。



……というか、この店は本当に営業しているんだろうか。



インテリアの一つ一つは洒落ているが、お世辞にも綺麗とは言えない。






「リンダママー?」



梨子は再び声を張り上げた。




すると、ギシっ、ギシっと、階段を下りてくる音がして…………。



カウンター席の奥の引き戸がガラガラと開いた。







「んもぉ!まだ開店してないヨっ!」


「リンダママー!!」




梨子の声に、目元を擦っていたリンダママは目を丸くした。



「ちょっと……ヤダ…!梨子なの!?」


「ママー!会いたかったぁ!!」


「梨子ぉ!!」




感動の再会に抱き合って喜ぶ二人を、俺は呆気にとられて見つめていた。








………無理もない。




リンダママの風貌は、俺の想像とはかけ離れすぎていた。