海沿いを走る電車、光り輝く水面。
ハシャぐ梨子は、窓から身を乗り出そうとする。
「オイっ!危ねぇって!!」
止めようとする俺を見つめて、梨子は微笑んだ。
「朔ちゃん。」
「あ?」
梨子は大きく息を吸い込むと、開け放った窓の向こうに広がる海に向かって叫んだ。
「奥田梨子はぁ!!藤嶋 朔のことがぁ、大好きですーーー!!」
「なっ!!?止めっ!」
「愛してますーーーー!!」
「梨子っ!!バレるっつの!!」
「誰もいませんよぉーーー!!」
「オイっ!!!」
「朔ちゃーーん!!大好きですーーー!!!」
梨子は、どこまでも自由人。
俺は慌てながらも、自然と笑みが零れてしまう。
梨子の、ありったけの愛の告白。
天然なのか、魔性なのか、
躊躇いもなく、そんな事をやってのける梨子が愛しい。