「私のことは、“ハニー”って呼んでもいいですヨ!」
この色ボケ女っ!!
「呼ぶわけねぇーだろっ!」
「えぇ〜!!酷いですよぉ!」
「…………。」
「はっ!?ま、まさか!
ヤッておいて、ポイ捨てする気ですか!?」
「しねぇーよ!!クソ恥ずかしくて呼べねぇんだよ!!」
「……もぉ!ダーリンの照れ屋さん☆」
またも、キャッ、キャッ、とハシャぎだす梨子。
………ったく、しょうがねぇなぁ…。
ダーリンなんて呼ばれんのは、恥ずかしすぎる。
けど、梨子があんまり幸せそうに笑うから、抵抗するのは止めた。
「……ハニー…。」
ぼそっと、俯いて呟いた俺の声を、梨子は聞き逃さなかったようだ。
梨子は、そんな俺にがばっと抱きつく。
「大好きです!!」
……ッあぁ!!もう!!
恥ずかしさと照れで、頭を抱えた。
すっかり梨子のペースにハマって、抜け出せるはずもなく。
車窓の向こうは、山、田んぼ、畑のパレード。
電車は長閑な景色に囲まれて、
俺たちを運んでいく。