「…」




お互いに、分かっている。



こんな風に言葉を交わすことはもう無いのだと。



こいつが俺を呼び出したのは、そういうことを意味するんだ…って。


そしてそれを俺が理解していることも、悟られている。






―――心は、開け放されている。


いつの間にか…こんなにも無防備に。






「困難も、痛みも…経験したら経験しただけ強くなれるから、いいんだと思ってた」


「…拓巳?」


「けど。…やっぱり辛いことなんて、少ない方がいいんだ」




傷なんて、少ないに越したことはない。


痛みなんて、誰も味わいたくないんだ。




俺はブランコを揺らしながら…目を伏せた。




「…お前は充分、戦ってきただろ?」