「何してたの?」


煙草を吸って、大和が煙草を買って戻ってくる前にみんなの集まっている浜辺に降りると、一人の女の子に問われた。

にこにこして何も気にしてないような顔をして。


「別に、煙草くれって言われただけ」

「ここで吸えばいいのにー」

「防波堤の上だと風が当たって気持ちいいんだもん、行ってみたら?」


大和が戻ってくるだろう事を見越してそういうと、単純にも「じゃあ行ってみよっと!」そういって駆け寄る。

その姿を見て何とも言えない笑いが漏れた。
健気だこと。

別に女の子が嫌いな訳じゃない。サークルだって楽しいし、みんなそれなりに仲がいい。

だけどそれなりに「合う」「合わない」が生じるもので、そこに男が絡むとなおややこしい。

この女の子はどちらかというと「合わない」女の子。
私にはない「かわいらしさ」に「恋」が合わさってなおいっそう微妙な関係に感じる。

もちろんこの子だけじゃなくて先輩だったり後輩だったりのねっとりべとつく視線は感じているのだけれど。

潮風がべたべたと体や髪に絡み付く。それに混じって女の子達の視線に妬み。

特別仲がいいわけじゃない。だけど、大和にたいして素っ気ない私は何故だかよく話しかけられる。そこに深い意味がないだろうことはきっとみんな分かっているだろうに。


「あー暑い」

「朝子はほんとに夏が嫌いねえ」


そばにいた友人、真理が私の嫌そうな顔に苦笑しながら私に笑いかけた。

そばに海という冷たい物があるって言うのに、まったく涼し気はない。

むしろ暑さが増す。


「大和って天然なの?わざとなの?」


防波堤で肩を抱きながら火をつけてもらっている男を指差しながら、真理はあきれた顔で笑った。


「わざとでしょ?」

「だろうねえ……あれで天然ならたいしたもんよね」


真理は煙草に火をつけながら笑う。


「真理があの男に惚れなくてよかったわ」


さばさばした真理とは入学当初から一緒にいて、好きな男がいるからか、大和には全く興味を示さず、一緒にいて一番気楽な女の子だ。


「それは……どういう意味で?」


煙草をくわえながらにやりと笑う真理の表情を疑問に思う。


「そのままの意味だけど?」

「ふーん」


真理は意味深な笑みを向けてから、私の肩をぽんっとたたいて肉の焼ける方へと歩く。

疑問を感じながら、潮風にサラされた髪に触れると、がさがさでべとついた肌に顔が歪む。

ああ、嫌だ。
べとべとする海も夏も嫌い。
お風呂に入りたい。
きれいさっぱり流したい。

そしたら訳が分かっていない今の頭も少しはすっきりするんじゃない?

未だ二人で仲良く話す防波堤の上の二人をちらりと見て、飽きれたようなため息が漏れた。

バーベキューももうすぐ終わり。さっさと帰ろう。