昼間よりも、夜が好き。
暗闇が全部隠してくれるから。
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「お邪魔しまーす」
靴を脱ぎ捨てて、部屋にどかどかと遠慮する様子もなく入り込むこの男。
「ユウスケ、煙草はベランダで吸ってよ?」
「はいはい」
お酒のニオイをぷんぷんに漂わせて、深夜2時を回ったこんな時間に非常識に電話をよこすこの男をどうしてやろうか。
「お前も吸う?」
ベランダに出て煙草を一本取り出し、振り返って私に向けてくる。
「私ハイライト嫌い」
私の言葉に肩をすくめてため息混じりに煙草をはき出した。
「元彼がメンソールだったから、だろ、未練たらしいなあ」
うっさいわよ。
むっとした表情で机の上の私の煙草、私のいつも吸っているメンソールを手にとってユウスケの隣に腰を下ろした。
「くさい」
「うるせえよ」
ハイライトのニオイが充満する。ハイライトに混じってお酒のニオイ。
目が合うと、ユウスケは煙草を吸って、キスをして、口に含めたハイライトの煙を私の肺に入れる。
「苦いよ、コレ」
私のしかめっ面に、ユウスケは満足そうに笑った。