ただ口をつむったまま、その瞳から隠れないようこちらも見つめ返す。


 

声は、出ない。



「いくらなんでも言っていいことと悪いことがあるでしょ!? もういい、ちょっと黙ってて!」


いいことと悪いこと?


わかってはいたけれど、やっぱり私の選んだ道は悪いことなんだよね?





まくし立てた日下さんが、私の方へ振り向き直ってひとつ、息を吐く。

「弥八子、今のは聞かなかったことにしていいから、ね?」


そうやって日下さんはかばってくれるけど。

大庭君が言ったことは、けして間違いではないから、余計に戸惑ってしまう。