“何故、自分たちなのか”


私たちの目の前に出された課題は、重たい空気を作るだけだった。

大庭君が私に「この4人に何か思うところはないのか」と聞いてきたけれど、まき込むような理由は見当たらず、首を横に振るしかなかった。


「では霧崎、お前はどうだ」

直後大庭君は矛先を霧崎君に向ける。

彼はちょっと眉を上げたものの、変わらない表情で「別に」と答えるだけ。

だけど大庭君は何かが引っかかっているのか、両腕を組んだまま霧崎君に詰め寄った。


「お前はつい今しがた『皆にも理由がある』のだと言い切った。何故言い切れる? それは自分に思い当たる節があるからじゃないのか」


その言葉には、霧崎君も表情を歪ませた。

私はさっぱり思いつかなかったけれど、そういうことになるのだろうか。


「……別に」

今度は彼の言葉に間が生まれた。

大庭君は眼鏡を押し上げ、息を吐く。


空気に、重さが増した。