「風に…か」



こんなに誰かを大切に思うのも



「あ、花にお水あげてる?」


「…やば。今日は忘れてた」



だけどあたし達はまだ



自分さえを守れない程に幼く




「日向」


「ん?」


「走るってどんな感覚だと思う?」


「んー…」





記憶を無くしても



足が動かなくても




温かくて明るい日向の強さに、あたしは依存していたのかもしれない。




「分からないけど…



…でも、すげー気持ち良さそう。






"走りたい"」





そう呟いたあなたの表情を



…あたしはきっと、忘れない。