「早く戻って来いよ。いつでも待ってるから」
「あ…ありがとうございます」
少し戸惑ったようにそう返す日向に、隆史先輩が微笑んだ。
「すげー毒舌だったのに、口調が柔らかくなったな」
…その表情は少し切なくて、少し寂しげで。
でもあたしがもう一度先輩の目を見た時には、いつも通りの悪戯っぽい瞳に戻っていた。
「せんぱ…」
「じゃ、明日からもほぼ毎日見舞いに来るからな!ウザイと思うけど覚悟しとけよ?」
「あ、自覚あるんですね」
「…もっぺん言ってみ、雄大?」
「なんでもないです」
軽口を叩いて、明るく笑いながら。
日向の前では決して涙を見せまいとする人達。
…あたしも、強くならなきゃいけないのだと思った。