「はい。分かりました」
代表して、隆史先輩がそう答えた。
…あたしも拓巳も雄大先輩も…他の部員達も皆、頷いた。
受け入れたくなくても、受け入れなくちゃいけないことは…この世界に溢れてる。
そう自分に、言い聞かせた。
「…日向、入ってもいい?」
おばさんが病室のドアをノックすると、心臓がドクン…と音を立てた。
「…どうぞ」
愛しい声が、返ってくる。
まさか記憶を失ってるなんて信じられない程に、あまりに変わらない声。
「…っ」
「私は…行くわね」
おばさんはそう優しく微笑むと、会釈してからその場を立ち去っていった。
「っ、日向…」
あたしは知らず知らずのうちに、誰よりも早くドアに手を掛けて。
…ガラ…と開いた。