日向がいないだけで、あたしの世界は全てを変えてしまって。
…そこに光は何もなかった。
「柚ちゃん、今日…」
「大丈夫です!ちゃんと部活に行きますっ」
「そうじゃなくて…さ」
廊下で会った先輩達に笑顔を浮かべて、そう答えると。
雄大先輩が代表して、あたしを諭すように言った。
「日向に…会いに行こう」
「…え?」
涙を堪えて、逃げるように病院を去ってから、2日。
あたしは…おばさんから電話があっても、日向の病院に行くことはなかった。
…本当はまだ、日向と言葉を交わしてもいない。
だけど怖くて、行けなかった。
「君は…誰?」
…そう言われたらきっと、あたしの心は壊れてしまうだろう。