日向の事故は、今朝校長先生によって全校生徒に知らされた。



皆何も言えずに…特にあたし達のクラスは、涙さえ流さずに静まり返っていた。




皆…信じたくなかったんだ。



藤島の風がもう吹かないなんてこと。
日向がもう走らないなんてこと。




…信じられる訳がなくて。



それは当たり前の感情で。





学園は、太陽を失った空みたいだった。



日向のいない教室は酷く暗くて冷たくて。



…あたしの特等席は、空白の席を見つめる悲しさへと変わった。





「柚ちゃん…大丈夫?」


「うん!大丈夫…だよっ」



明るく振る舞うことしか出来なかった。



笑顔を作ってないと、泣きそうだった。