いつか誰かが…そう言った。





…でも、何が幸せか不幸せかなんてもう分からないくらいに。



日向は、一番大切だったものを失ったんだ。





「…っ…」



一筋の涙が、頬を零れ落ちる。





―――日向…




あなたは確かにそこに居て



この世界には地面があって



…風が、あるのに。





一番、一番大切なものが無いんだ…





日向の、地面を強く蹴る足と…



…"走りたい"と願う気持ち。――――










―――――神様、お願いです…



あたしの大切な人から



一番大切なものを





奪ってしまわないで…