その目は優しくて…
…あまりに、変わらなくて…
早く医師を呼ばないといけないのに…あたしもおばさんも、体が動かなかった。
「ひな…た?」
「…っ…」
瞳は変わらないのに…
…日向は、呼ばれた名前が不思議そうに目を細めた。
「ん…」
「…私が、分かる…?」
おばさんが静かに、涙を堪えながらそう聞くと。
…日向は少し切なそうに目を伏せて…首を横に微かに振った。
―――それが、医師の判断に間違いが無かったことを示していた。
…壊れそうな心を、今にも漏れる嗚咽を抑えて。
あたしは静かに、病室を立ち去った。