…いつも優しい先輩達が、こんなにも感情を剥き出しにしたのを。
初めて…見た気がした。
「皆…ありがとうね」
その声に振り向くと、目をハンカチで押さえた日向のお母さんが立っていて。
…あたしは、静かに歩み寄った。
「おばさん…」
「ありがとうね、柚ちゃん。…ずっと付いててくれたんでしょう?
無理…しないでね?
あなたが倒れたら、日向に怒られちゃうわ」
優しく微笑みながらおばさんは、あたしの髪を撫でてくれた。
…日向と同じ。
昔からずっと…いつも温かい人だった。
「おばさん、あの事故は…」
…躊躇いながらも、そう言葉を紡ごうとした時。
「っ」
――――…その場にいた全員が、息を呑んだ。
"手術中"のランプが消え…静かに白い扉が開き、担当医が現れた。