終わりを求めた足は、最後の一歩で強く地面に叩きつけられた。




「っ」






その瞬間、ワァァァァ…と歓声が沸き上がる。



塞がれていたかのように何も聞こえていなかった耳は、急にそれを受け入れたせいで少し痛んだ。







「日向ーーっ!」




俺の名前を呼ぶ、騒がしくも愛しい仲間達の声に。



…俺は微笑むと、体の力を抜いた。







誰よりも速く、この足がゴールを切ったことを知ったのは。



…すぐ、のことだった。








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「藤島学園陸上部一年、相原日向」


「はい」


「男子800m優勝おめでとう」


「ありがとうございます」


「全国大会で、更なる強豪が君を待っている。


…けれど、勝負にかかわりなく君は君の走りで魅せて欲しい。



頑張って下さい」



拍手の中で、代表者であるおっさんから表彰状とトロフィーを受け取ると。



俺は頭を下げた。