「…ん」


「が…頑張ってね?」



なんだか胸が一杯で、それしか言えなかった。



いつも思う。

こんな大切な瞬間に、あたしが他に何を言えるだろう…と。




「ああ」



いつもより素っ気ない日向は、あたしにすっと背を向けて。



その後ろ姿はスタンドを降りて、本部へと向かっていってしまった。



「ひな…」



だけど。



…あたしが名前を呼び掛けた、その瞬間。





「あ…」




日向は背を向けたまま、右手でピースを作った。




「…っ」




…こんなに。



こんなに愛しくて、こんなに好きだと思える人はいない。



こんなに泣きそうになったのは、生まれて初めてかもしれない。






―――…神様。



あたしはこの人が、好きです…。






「…頑張れ」



頑張れ、日向…