バレない、だなんて本気で思っていたわけじゃなかった。



だけど言えなかった。





「渡してくれた?」


「う…



うんっ…」



翌日愛ちゃんに聞かれても、あたしは頷くしかなかった。



手紙はまだ、鞄の中に入ったままなのに。






「柚」


「っ…?」



更にその翌日、練習が終わったあと。



…グラウンドを整備するあたしに、日向が声を掛けてきた。



いつになく真剣な目で。



「なんか…あったのかよ?」


「え?」


「昨日…一昨日ぐらいから、なんか変だろ」



日向は鋭い。



嘘なんかつかせないっていうぐらいまっすぐな目で、あたしを見つめてくる。



「…っ、何も…ないけど…」


「柚」