"今度の大会で勝ったら…
言うから"
日向の気持ちが、聞きたい。
だから言えない。
…大会が終わるまでは、マネージャーとして、幼なじみとして見守っていくことを決めたから。
だから気安く"好き"だなんて言えない。
「柚?」
「…っ!」
後ろから名前を呼ばれて、肩がぴくっと跳ねた。
「ひな…」
「何立ち尽くしてんだよ。…てか何?それ」
早めに戻ってきた日向が、少し怪訝そうに言った。
…まだ皆は登校してきていなくて。
愛ちゃんは既にいない。
…愛ちゃんの笑顔を思い出すと、あたしの胸がずきん…と痛んだ。
「…柚?具合でも悪いのかよ?」
「あ…ううん。なんでもない」
少し心配したような目を向ける日向に、あたしは笑みを作った。