「ゆ…柚ちゃん!」


「はいっ?」



朝練が終わって、教室へ行くと。



…待ち構えていたように、クラスメートの愛ちゃんがあたしに駆け寄ってきた。



「相原君は?」


「日向はいつも、朝練終わっても先輩達とたむろってるけど…」



授業に遅れたくないあたしは、いつも先に戻る。



日向と違って真面目ですからね。




そう話すと、愛ちゃんは安心したような表情になった。



「そうだよね。柚ちゃんが一人なの、今しかないと思ったんだぁ」


「…?」


「あの…これっ、相原君に…」



首を傾げるあたしに、少し顔を赤らめた愛ちゃんが差し出したのは。




…可愛い花柄の、封筒。




「…え…?」


「渡して…くれないかなぁ?」



大きな瞳を少し伏せがちにして、愛ちゃんがそう言った。