グラウンドという小さな世界で、あんなにも光り輝いていた彼に、恋をした。



神様。

どうかあたしに、最後の奇跡をください。



…だって知っているはずでしょう?


あたしは決して、彼を見つめることをやめはしないのだと。

その存在は、あたしの世界のすべてなのだから…。





「…っ」


桜色の唇を軽く噛み締め、そっと振り向く。





涙が出る程に懐かしい声が。


懐かしい、匂いが。




確かに目の前に…現れた時。









「……柚…?」








――――――透明な風が、吹いた。











風にキス、君にキス。




-完結-