――――「日向の夢は何?」


「トップアスリート。



…だけどもし、それが無理だったら…」




無理だったら…





何故急に思い出したのだろう。


…その言葉の続きであり、彼のもう一つの夢。







――――「ダメ。…日向みたいに早く走れないよ」


「もっとしっかり腕振って、前見て」







…いつのことだっただろうか。



記憶が鮮やかに、蘇る。


いつかの中学時代のグラウンドに、引き戻される。




タイムを伸ばそうと必死になっていたあたしの傍で微笑みながら…彼は確かに、言った。






「走るのもいーけど…





世界中の人達に…走る楽しさを伝えんのも、悪くないな」