思わず怯んだあたしの表情を見た瞬間、男の子の大きな目が更に大きくなり。



…拙いながらも、確かに日本語を紡いでいた。



「え…イエス、ニホンジンよ」


「Oh.アワティーチャート(俺達の先生と)オナジ、ダナ」



何とか聞き取れる日本語を嬉しそうに口にしながら、その男の子は笑顔になって。



…あたしは肩の力が抜けるのを感じながら、英語で返した。



「日本語、先生に習ったの?」


「うん。すっげーんだぜ、俺らの先生。…普段は走らないんだけど、教え方がすっごく上手なんだ!



もうすぐ部室から出てくるよ」






――――…その言葉を聞いた時。




ドクン、とあたしの心臓が音を立てた。




……滲み出るように心に湧いてくる、一つの記憶があったから。



――――そう。

いつかの…彼の台詞が…