――…走れなくなる日が やって来る。 そんなこと想像もしなかった。想像も出来なかった。 今この瞬間がいかに大切かはわかっていたつもりでも。 …もう二度と風と呼ばれなくなる日が来ることなんて。 考えたこともなかった。 「日向っ」 そう俺を呼ぶ、柚の笑顔を。 …奪うことに、なるなんて。 ――――君に、問いたい。 …例え俺が風じゃなくなっても 君は俺を見ていてくれますか?