「え…?」
「…拓巳、どうしたの?」
「いいから。早く来い」
突然日向にマイクを差し出した、表彰台の上に立っている拓巳。
あたし達は状況を飲み込めずにいて
日向も戸惑ったように、ゆっくりと立ち上がった。
「…何考えてんだよ、拓巳の奴…」
「っ分かんないけど…」
あたしも戸惑いながらも…日向のシャツの裾を、ぎゅっと掴んだ。
「日向が何か伝えられるなら…伝えた方がいいんじゃないかな…?」
それしか言えない。
拓巳はきっと、意味なしにこんな行動を起こさない。
…日向の何かを分かってるから…きっとこうしてるんだ。
そうとしか思えなかった。
「…」
「ひな…た?」
「…ったく」