鼓膜を突き破るような、声。
…スタンドを見れば、手をぶんぶん振っているクラスメート達。
手の代わりにクリップボードを振っている、マネージャー二人。
抱き合いながら飛び跳ねている後輩達。
…そして…
Vサインを俺に向けている、日向。
「さすがだな、拓巳!」
「おう」
俺も、笑って。
頭上にVサインを掲げて、日向に返した。
―――――夏が、終わる。
陸上が終わる。
あまりに儚くて
あまりに呆気ない。
そんな一瞬に振り回されて
俺達は生きている。
そしてこれからも生きていくのだろう。
…いや、生きていく。絶対に。
今なら…そう誓うことが出来るから。