…゙走ってる゙。
何も聞こえない。
ただゴールだけをまっすぐと見つめて
風に包まれて
…何も余計なことは考えられない。
「っ…」
息を強く吐いて、一瞬空を見上げた。
なんて短いんだろう。
このまま走り続けていたい。
…だけど、そうもいかない。
もう終わりだ。
…ラスト・スパートだ。
少しキツくなってきた足をなるだけ上げて、ターボを掛ける。
残った力を全て足に集めて、注ぎ込む。
「ーっ…!」
体が朽ちてもいいと言うぐらいに全力を尽くして、ゴールへと走り込んだ。
…トップでラインを踏んだ、確かな感覚。
沸き上がる歓声を受け入れる術も持たず。
ゴールを切って…その場に軽く倒れ込んで足をついた。
「っ…は…」
渡されたタオルで汗を拭って。
とりあえず呼吸を、整えた。
…血液が逆流しそうだ…
「拓巳ーーーーっ!」
「部長ーーっ!最高ですっっ!」
「藤島最高ーーっ!」