「頑張って来ます!」
「「頑張って来て下さい!」」
そう笑いながら、スタンドを駆け降りて。
一歩一歩を踏み締めるように…スタートへと向かった。
「藤島学園?」
「え?…ああ」
「あいつは?…一年ん時優勝した奴」
「日向か」
「そ。…今回はいないんだな。張り合いたかったのに」
多分一年の時に日向と競ったんだろう。
走る前に…少し背の高い、他校の奴がそう話し掛けてきた。
「まぁな。…でも今回は、俺が相手だ」
「お、強気じゃん」
「よろしく」
そう互いに、笑い合うと。
「…各ラインを踏まないようにして、位置につきなさい」
係の人の指示に従って、並んだ。
…不思議と、緊張はなかった。
見上げれば青空。
スタンドからは俺の名前を呼ぶ声が聞こえる。