「…大地くん、二位。頑張ったね」
「ん。頑張ったな」
俺達が伝えた何かは…実を結んだかな。
成績を三位以内に修めたのは結局大地だけだったけど。
皆が…ここにいる皆が、確かに日向から何かを受け継いで。
願わくば俺からも、何かを受け継いで。
…誰よりも真剣に走ったんだ。
走ることを幸せだと感じて…風になったんだ。
日向の存在がどれだけ大きかったのか…今なら分かるだろ?
走ることだけじゃない。
―――生きることまで…俺達は日向に教えられたのだから。
「ほら、拓巳。…出番だよ」
「拓巳部長、頑張って下さい!」
「めいっぱい走ってきて下さい!」
柚と…後輩達と。
…そして…
「こけたりすんなよ。お前案外ドジだからな」
「だっ…うるせー!」
…俺に手を振る日向に、見送られて。
俺はスタンドを立った。