「あ、ハモった」
「うん。
…なんか、懐かしいよね。いろんなこと思い出す」
柚もそう笑って、一年がフィールドを駆け抜けていく姿に目を遣った。
「あの子…大地くんだっけ。なんか雰囲気や走り方が日向に似てるんだ」
「…大地は特にあいつに懐いてて、いろんなこと教わってたからな」
自然と、少し離れた場所でそれを見守る日向に目を遣った。
…優しい瞳で
見守るような瞳で
まっすぐと…目を逸らさずに、大地が走る様子を眺めていた。
…なぁ、日向。
お前は強いよな。すげー優しいよな。
走れなくなった今でもなんでそんなに優しく見守れるのか…俺にはきっと無理だよ。
多分俺が日向を追い越せないのは、いろんな理由があるんだ。