「部長らしかったよ」


「…何、笑ってんだよ」


「なんかね…重なって見えたんだ」



戸締まりをして、持っていく荷物を確認する柚に俺は首を傾げた。



…重なって見えた?



「誰に?」


「拓巳に」


「…誰が?」


「隆史先輩や、雄大先輩が」



そう微笑む柚の言葉に、俺はゆっくりと体の力が抜けていくのを感じていた。



…安心したのかもしれない。



「俺はちゃんと部長を継げたってことかな」


「うん。…きっとね」




バトンをちゃんと受け取ることが出来て、ちゃんと落とさずに渡すことが出来た。



…そのことに、こんなにも安心するとは思わなかった。



「あと、日向にも似てた」


「…へ?」


「拓巳の、表情」