「…迷惑掛けんのは嫌いだけど、掛けられんのは嫌いじゃない」


「えっ…?」


「特に、柚になら」



あたしの頬にキスを落として。



…日向は、ぎゅっとあたしを抱き締めてくれた。



「っ…」


「だからさ…こうしようか」


「…?」


「前に俺が言った賭けに勝って、互いの夢を叶えたら…




…その時は、柚を連れ去って行く」




日向の腕の中は温かくて



声も温かくて



言葉も…







「…うん…」



その温もりに、思わず目を閉じた。



どうして頷いてしまったのかは自分でもよく分からない。



…だけど、間違いだとは思わなかった。