優しい笑顔を向けて、日向はあたしに参考書を返した。



「日向に教えてもらった読解方法とかも、たくさん役立ってるよ」


「そっか」


「うん。…日向」


「何」


「日向は…あまり料理出来ない子とは、結婚出来ない?」




…自分でも驚く程に、自然と口に出していた。



どこまでも不器用で



どこまでも遠回しなプロポーズ。




笑えるくらいに、自然だった。



「…お、それってプロポーズ?」


「そうかも」



…それでも、日向にはちゃんと伝わっていたらしい。



その瞳を閉じて



あたしの手を優しく握って、そう言ったから。