そう返しながら、さっき隣から聞こえてきた英文はシェイクスピアの"ハムレット"の一文だったことに気付く。



「相変わらず日向すげーよな…」


「やっぱ相原君格好いいよー!」



やたらざわつき出した教室を、改めて見回すと。



…ふと、柚と目が合った。




「寝ちゃダメだよ」



戸惑いながらも、少し照れたような柚の小さな唇がそう動いた。



…完璧に読み取れる自分を、我ながら凄いと思う。



「うるせぇよ」



ゆっくり、口をそう動かして返すと。



…どうやら通じたらしく、柚がふふっと微笑んだ。




「ヒナタ、聞いてるの!?」


「はいはい」



とりあえず頭を下げてから、前に向き直って頬杖をつくと。



…自然に笑みが零れていた。