あたしは小さく笑って、軽く鞄を肩に掛け直した。
「明日が終わるまではまだ…でしょ?」
「だな」
拓巳はそう頷いて、あたしに手を振った。
「じゃ明日。頑張ろうな」
「うんっ。明日ね」
拓巳に背を向けて…あたしは、日向の家へと向かった。
もう今日中には家に戻って来ているはず。
思ったよりもリハビリが順調に進んで、異例な程に早く退院出来たと聞いたから。
「えっと…
……ん…?」
団地に着いて、゙相原゙の表札を探そうとした時。
…あたしの目は、団地の一番端の方にある階段に腰掛けている誰かを捕らえた。
一目見た瞬間、例え遠目でも誰かはすぐに分かった。