「…ありがとう」



月並みな言葉だけど…何にも替え難い気持ちだった。



皆に出会わせてくれて…



皆を走らせてくれて…



…ありがとう。




そしてあたしは、それを見守ることが出来て…




とても幸せでした…









「明日は6時にここに集合。死んでも遅れんなよ」


「部長。死んだら来れません」


「ええい、ごちゃごちゃ抜かすな!」



日向のような憎まれ口を叩く後輩の頬を拓巳がつねって。



全員の間に笑いが零れた。



いつもは夜まで練習なのだけれど、今日は前日ということもあってそこまで遅くならずに切り上げられた。



「お疲れ様でしたー」


「お疲れ。しっかり休めよ」



全員の背中に手を振って、見送ってから。



…拓巳は優しい表情で、あたしを振り向いた。



「柚も…お疲れ」


「まだ早いよ」