一人の男子が、担任に向かって質問を投げ掛けた。
「じゃあもう日向は…走らないってことですか?」
「矢口、それはな…先生の口からはなんとも…」
「…最後の大会ですら、あいつは出られねぇのかよ!」
「こんなの…酷すぎる」
何人かは、悔しさに唇を噛んでいた。
何人かは、涙を堪えた表情をしていた。
…何人かは、泣いていた。
気付かなかった。
あまりちゃんと、気付けていなかった。
皆、皆大好きだったんだ…
…英語が堪能で、いつも授業中は爆睡で、先生にも突っ掛かる程に口が悪くて…
晴れの日と雨の日の機嫌が限りなく違う…
…太陽のように、走る姿は誰よりも輝いている。
陸上バカ、相原日向を。
゙藤島の風゙を…