ほんの少しだけ開くことの出来た目を、視線を動かして。
隣に目を遣った。
…一番会いたかった人。
一番大切な人は、俺が目覚めたのにも気付かずにしゃくり上げて…泣いていた。
「っ…やだ…いなくならないで…っ…
死んじゃやだ…っ!やだよ…っ」
…アホか。
支障があるのは足だけで…死ぬ訳ないっての。
そう思いながらも…俺は、思わず涙を溢しそうになった。
…泣かせてばかりだ。いつもいつも。
俺の゙走りたい゙という我が儘は、結局柚を泣かせてしまう。
分かっていた。
…だけど…走れることがあまりに嬉しかったんだ…