鉛のように、足が重みを増してゆく。




「…っ」




次の一歩を躊躇った時にはもう遅かった。





…景色が止まって



風が止まって





ガクンッ…と足から力が失われる強い感覚だけが、そこにあって。




「っ…あ!」







抵抗も出来なかった。



…自分の体が、崩れ落ちてゆくことに。







「…っ、日向っっ!」


「触れないで下さい!担架で運び入れます」



うるさいサイレンの音が聞こえてきたと思ったら…体が持ち上げられ。



…ほんの少し目を開けると、柚や拓巳達が歪んで見えた。



「っ…」


「彼が以前入院していた柳沢総合病院へ輸送します!」


「付き添う方、中に乗って!」


「ご両親に連絡を!」