「引退に関しても、何に関しても」
「…え?」
「分からないことばかりだよな。世の中」
窓の外に、校庭を走る一年と二年…そしてマネージャー二人が見えた。
何も変わらない。
何も変わらない風景で、何も変わらない日のはずだった。
「日向?」
「…なんでもねぇよ。月日が経つのは早いってこと」
そう軽く笑ってから、日向はスポーツドリンクを飲み干した。
「よっしゃ、また走るぞ」
「…いや、一応部長は俺なんだけど…」
「いーから急げ」
いや、良くない…
…そう思いつつも、日向のペースに呑まれることは嫌いじゃない訳で。
やれやれと苦笑しながら、日向に続いて部室を出た。