「…よしっ」
流れ星でもないのに、ひたすら夕焼け雲に願いを込めると。
…もう一度顔を上げた。
うん…大丈夫。
きっと、きっと…大丈夫。
「柚っ、何やってんの?」
「わわ!…あ、お母さん」
「今日も仕事疲れたわ…」
両手に荷物を抱えていたお母さんのために、あたしはドアの鍵を開けた。
「はい。お帰りなさい」
「ありがと。…ほら、あんたも早く入りなさい」
「うん」
ドアを閉める直前に、もう一度空を振り仰いだ。
…いつか見た茜色に、どうしようもなく胸が切なくなって。
苦しくなった。
゙あと少じだから…
意地悪な神様の気が変わらないうちに…