おばさんが去った後も。
…あたしはしばらく外に出たまま、日向のことを考えていた。
徐々に近付く、日向と陸上の別れの時。
日向が走ることをやめた時…あたしの中でもきっと同時に、陸上は消滅してしまう。
「゙藤島の風゙か…」
…風は、走ることをやめた時に何へと変わるのだろう。
せめて少しでも優しく。
せめて少しでも暖かく。
…夏の夕焼け空を眺めながら、あたしはそう祈った。
倒れそうになっても
挫けそうになっても
諦めそうになっても
…その手の中に光があることを願います。
夢は話さなくても良いから
持ち続けて…追い続けて下さい。
―――そんな日向を、あたしは見守り続けていたいから。