「いえ…そんな…」
あたしが日向にしてあげられたことなんて…あたしが日向に貰ったものに比べたら、ちっぽけなものです。
そう言いたかったけれど、なんだか胸がつまって言えなかった。
「柚ちゃんは外国語学部を…目指してるのよね?」
「はい、一応」
「英語は楽しいわよね。頑張ってね」
「ありがとうございます」
朗らかに笑うおばさんに、あたしも微笑み返した。
「あの子、柚ちゃんの夢の話はするくせに自分の夢の話はしてくれないのよ」
「え…おばさんにも、ですか?」
自然に日向の夢の話を口にしたことよりも、その方が驚きだった。
…誰にも、言ってないんだ…
「あたしにも、言いませんでした」