一方あたしはと言えば…




「わ、わわっ!」


「柚先輩っ、大丈夫ですか!?」


「だっ、大丈夫!えっとね、お茶を…」



…うぅ、情けない。



せっかく入ってきた一年生のマネージャーの女の子に、あまりスムーズな指導が出来ず。



日向に笑われる始末。




「本当どんくさいな」


「なっ…何ようっ」




隆史先輩も、一浪したもののなんとか志望大学に受かったらしい。



雄大先輩はなんと、難関国公立の法学部を一発でクリアしてしまった。(実は頭良かったんだ…)



真琴先輩達も無事、それぞれの目標を達成したらしいと聞いた。



…先輩達がいなくなっても、陸上部の雰囲気は変わらない。



あたし達も…何も変わらないのだと、そう思っていた。




日向の足はすっかり以前のように動いていたから。



…心のどこかで、あたしも安心してしまっていたのかもしれなかった。