そう思ったから。



俺は柚の柔らかくて綺麗な髪に、すっと指を通した。



「…っ」



そのまま、空いた手を柚の腰に回して。



…軽く、抱き締めた。




「…一番近い所で、俺のこと見てろよ」


「ひな…」



気付いてるのか、気付いてないのか。



昔から鈍感で、妙なところで鋭かったりするこいつのことだからよく分からない。



ただ言えるのは…





「…うん…!一番近くで、見てる…っ」




…俺は柚が可愛くて仕方ない、って。



他の奴が柚の名前を呼ぶとムカつく、って。






「…ありがとな」



大会で勝ったら。



…そう、教えてやるから。