こんな時にでも優しく笑う日向が、なんだか凄く切なかった。
…いつもそうだ。
あたしを傷つけないように…
泣かせないように…
巻き込まないようにって…
…この人は全てを一人で抱え込んで消えていってしまう…
「…っ」
「分かってる。…ごめんな、柚」
「ーっ、日向が謝ることなんて…何一つないじゃない…!」
「…分かってるけど…一つだけ、我が儘言ってい?」
あたしの髪を撫でながら、日向は優しく…優しく、言った。
゙最後の我が儘だから゙って…
「…もう一度だけ、走らせて」
――――三年の、夏には。
…あたし達は最後の大会を迎える。